2020年5月 福島県只見町にてアンタレス付近&天の川中心部を撮影

2020年5月の新月の時期に福島県側が晴れていたため天体撮影すべく南会津郡只見町へ遠征した。

撮影地とアクセス

新潟側から国道252線沿いに向かったので、道中は眼下に田子倉湖を眺めることができた。田子倉湖は只見川に建設された田子倉ダムによって生じたダム湖であり貯水量は日本第3位とのこと。またダムに付設されている田子倉発電所は水力発電所としては日本第2位の出力を持つ。

国道252線沿いから見た田子倉湖
図1.国道252線沿いから見た田子倉湖

撮影場所としては只見ダム傍に位置する歳時記念館周辺を選んだ。只見ダムは田子倉ダムのすぐ下流にある水位調整用のダムである。天の川周辺が位置する南方面が開けており、近くに広い駐車場もあるため撮影の利便性は良好であった。ただしダム湖の湖畔に位置するので明け方には霧が発生しやすく天体撮影時は注意が必要である。

天の川とアンタレス付近撮影

日没後は南西方向のアンタレス付近と天の川を撮影した。図2は田子倉ダムを前景に天の川を撮影したものである。南方向地平線付近では市街の光で色かぶりが発生している。おそらく前橋市~東京方面からの影響のものと思われる。距離が遠くともある程度の光害の影響があることが確認できる。

天の川と田子倉ダム
図2.天の川と田子倉ダム

さそり座心臓部の高度が上がってきたため、天の川中心付近とともにアンタレス付近のカラフルな領域を赤道儀追尾により撮影した。この領域では大きな暗黒星雲が存在し、また周辺の恒星の光を反射した反射星雲や電離発光する領域が入り組んでおりカラフルタウンと呼ばれる。

図3の写真は焦点距離64mm, iso2000, f4, ss200sec, 8枚を加算平均合成したものである。カメラはニコンZ6,レンズはニコンNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを使用した。

さそり座α星(アンタレス)近傍のオレンジ色の散光星雲IC4606はアンタレスの光を反射している。アンタレスすぐ右に位置する球状星団はM4である。またさそり座σ星に照らされたSh2-9星雲はσ星近傍の青い反射星雲とその周りの赤いHII領域で構成されていることがわかる。IC4604はへびつかい座ρ星の青い光を反射した反射星雲となっている。参考のため、図3に映り込んでいる主な天体を図4に追記した。

アンタレス付近
図3.アンタレス付近と天の川
アンタレス周辺の主な天体
図4.アンタレス周辺の主な天体

撮影領域をさらに広げ天の川中心付近の多くの星雲を画角に収めた。低空部は大気や光害の影響を受けるため画角を広げるほど現像処理に苦労する。

アンタレス周辺と天の川
図5.アンタレス周辺と天の川 55mm, iso2000, f4, ss200sec, 4枚を加算平均合成

まとめ

上記のようにアンタレス周辺はカラフルで見ごたえのある領域であるので、コンディションの良い環境を見つけて今後も撮影したいと思う。また今回は強引に強調処理をしてしまっているので今後現像方法についても改善していきたい。

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