2020年8月 西伊豆仁科峠にて天の川・三裂星雲・干潟星雲を撮影

静岡県伊豆市の仁科峠(標高897m)で天体撮影を行った。天の川と天の川中心部の星雲(M20三裂星雲・M8干潟星雲・猫の手星雲)を撮影した。

撮影地紹介

撮影地を以下のマップに示す。数台分の駐車スペースがありアクセス・撮影の利便性は高いが、撮影日は訪れる人も多く駐車スペースは不足しているようであった。また伊東西伊豆線にあるため車通行時は車のヘッドライトで周囲が明るくなるので天体撮影時は注意が必要と感じた。

日没までは西天城高原で日の入りを撮影。西側が開けており西伊豆町や駿河湾が見渡せる。

西天城高原から見た日の入
図1.西天城高原から見た日の入
西天城高原から見た日の入
図2.西天城高原から見た日の入

星景および天の川中心部撮影

日没後は天の川を中心に撮影を行った。天体の高度によって写りが異なることがわかる。高度の低い地平線付近では湿度が高い影響か市街の光で色かぶりが発生している。高度の高いところでは天体はクリアに見えた。またこの日は、いて座周辺に右から木星、冥王星、土星が並んでみられた。

仁科峠から南方面
図3.仁科峠から南方面(20mm, ISO1600, ss20sec, f1.4)

伊東西伊豆線を通行する車が予想以上に多く、周囲が赤く照らされるため星景写真は終了し、天の川中心付近の星野写真を撮る方針に変更。図4は焦点距離100mmで天の川銀河中心付近のいて座周辺を撮影したものである。主なメシエ天体を黄緑枠で示している。天の川中心域では主な天体が密集していることがわかる。

天の川銀河中心付近
図4.天の川銀河中心付近(100mm, ISO10000, ss20sec, f5)

天の川中心部をさらに拡大しM8干潟星雲(下写真右下)、M20三裂星雲(下写真右上)、猫の手星雲(下写真左)が収まる領域を撮影したものを図5に示す。

M8干潟星雲に重なって見られる星団は散開星団のNGS6530。M8干潟星雲の左に広がる猫の手星雲は、NGC6559, IC4685, IC1275, IC1274, IC4684で構成される。淡い赤と青の星雲が混じっている様子をとらえることができた。

M20三裂星雲は北側の青い反射星雲(近くの恒星の光を反射して発光)と南側の赤い輝線星雲(紫外線により電離した水素ガスの再結合時のエネルギーHα線で発光)から成り立っている。赤い星雲側は手前の暗黒星雲により散光星雲が3つに分割されて見える様子が確認できる。またM20のすぐ左上にはM21散開星団も見られる。

図5の写真は拡大すると赤道儀の追尾ずれが生じていた。もう少し鮮明に撮影できれば星雲内に存在する原始星からのジェットが捉えられたかもしれないので、原因を修正しまたの機会に撮影に臨みたい。

三裂星雲と干潟星雲と猫の手星雲
図5.M20三裂星雲・M8干潟星雲・猫の手星雲(400mm, ISO4000, ss120sec, f6.3 4枚を加算平均合成)

余った時間で天頂付近の天の川を20mmの画角一杯に撮影した様子を図6に示す。いて座付近のM20・M8~はくちょう座付近のNGC7000北アメリカ星雲や赤いHα領域も確認できる。

天の川 いて座~はくちょう座付近
図6.天の川(いて座~はくちょう座付近)20mm, ISO3200, ss30sec, f2

まとめ

静岡県伊豆市の仁科峠で天体撮影を行った。撮影地は駐車スペースがありアクセス・撮影の利便性は高いが、伊東西伊豆線にあるため車のヘッドライトの影響があるので星景撮影時は注意が必要である。天体撮影地としては、非常に視界が良く高度の高い空は星が明瞭に見えるので再訪したい場所である。

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