11月8日に皆既月食が日本各地で観測された。当日は天気も良く、また皆既月食と同時に天王星食も見られる機会であったのでその様子を撮影した。
撮影条件
設定:赤道儀(Vixen ポラリエ)による追尾 / ISO320, 露出5sec, f8
画角:焦点距離400mmで撮影(本投稿図2~図5では写真はトリミングして掲載)
機材:ニコン Z6,シグマ 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM
場所:東京都
月は地球の自転にともなう日周運動と、地球の周囲を回る公転運動により移動している。日周運動については赤道儀により追尾可能だが、公転運動については追尾できないため背景の恒星に対して月は1時間に0.5°程度(1秒間で0.000139°程度)動くことになる。一方35mm判換算で焦点距離400mm相当の画角が6.2°であるので2400万画素センサの横幅が6000ピクセルだとすると7.4秒程度の露光で1ピクセル分動く計算になる。今回の撮影ではシャッタースピードは5秒以下であれば公転運動によるブレは抑えられると考え撮影したが、もう少しシャッタースピードを抑えてもよかったかもしれない。(極軸合わせを適当に行ったため赤道儀による日周運動の追尾精度も良くなかったので。。。)
図1では皆既月食を焦点距離400㎜で撮影した様子を示す。以降では月食の経過を紹介するために400㎜で撮影した写真をトリミングしたものを紹介する。
月食経過の撮影
図2に皆既月食中の様子を示す。写真左下に天王星が見える。
図3に天王星食直前の様子を示す。皆既月食中は地球の大気で散乱されにくい赤色光が月に投影されていたが、部分月食が近づき図3にようなターコイズフリンジの青みがみられ始める。ターコイズフリンジは、皆既月食から部分月食に変わる過程で、太陽光が地球のオゾン層を通過することで生じる現象である。オゾン層は黄色~赤色(光の波長600nm前後)付近に吸収帯をもっているため、赤色光が吸収された太陽光が月面に投影される場所が青くなることになる。
部分月食中の月に天王星が隠れた状態を図4に示す。月食中の月面に露出を合わせている(HDR合成のためにブラケット撮影をしておけばよかったと反省)。ターコイズフリンジの青い帯がはっきり表れている。
天王星が月の右側から出現した様子を図5に示す。
次回の皆既月食に向けて
次回日本全国で皆既月食がみられるのは2025年9月8日未明とのこと。南西にみられるため、西の天の川を一緒に収めて撮影できればと考えている。
筆者が簡易的に星の特定に使用しているアプリ「Star Walk 2」のスクリーンショット(2025/9/8/3:00に設定)を図6に示す。左に月食中の月、右にはくちょう座を含む天の川が見られる。